木力館ブログ

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「伝統」とは何か?

 季節の境目となってきました。さいたま市などはまだまだ寒いですが、気候の変化が激しい時期でもありますので、体調管理にはお気を付け下さい。
 さて、私(おやじ)は木力館に来館したお客様に「木力館の構造駆体(骨組み)には伝統工法を用いています」と木力館内各所の骨組みを実際にお見せしながら説明しておりますが、「じゃあ、伝統って何?」と聞かれた事が有ります。今回は「伝統」についての私(おやじ)なりの考えを、ブログでも紹介したいと思います。

             木力館で見られる、伝統工法による木組み(太鼓梁の上に台持ち継ぎ)。

 伝統、とひとくちに言っても、ものごとには様々な分野や切り口があるので、「全てがこう」とは言えない部分が有るのは当然のことでしょう。
 しかし「伝統」とは、その時代や時期、一時的な流行り廃りなどですぐに消える事はなく、長い時間と世代を超えて、脈々と受け継がれてきたものだと、私(おやじ)は考えます。「伝統」と呼ばれるからには、そうなる為の理由が必ずあるものです。

 例えば、家の工法(構法)にしても同じ事が言えます。昔から大切に受け継がれ、場合によっては改良されて、先人達の技術と努力の結晶が、「伝統」として今に息づいている訳です。
 家の工法について「伝統」と呼ばれるには、数年や十年程度の期間ではなく、世代を超えて、おおまかに百年以上続いたものが「伝統」として認められるのではないか、と私(おやじ)は考えております。それだけ長く続くと言う事は、他よりも優れている、そして他のさまざまなものと比べられ、淘汰の荒波にもまれ、より洗練され、やがて今に生き残り、大切に受け継がれている結果である……、と思うのです。

 
 今では新建材や合板、金物を使った家づくりが主流ですが、では昔ながらの伝統工法が全て悪かったのかと言うと、そんな事はありません。伝統的な工法(構法)を見直そうと言う機運も高まっていますし、伝統工法の良い部分も再注目されております。もちろん伝統工法にも難儀な点はいくつかありますが、現代の新しい技術を組み合わせ弱点を相互補完する事で、よりよい家づくり、工法へ繋げようとする動きもあります。
 また、東京スカイツリーのように、伝統工法の要素を取り入れた現代の構造物など、再評価されている部分も少なくありません。

 皆様も色々な「伝統」にもう一度目を向けて、そのルーツを知って頂ければ幸いです。材木やその使い方(伝統工法)も同じ事です。木力館では、伝統工法「通し貫工法」を用いて、実際に柱や梁、継手、壁の断面などを見る事ができます。ぜひ一度お越し頂き、伝統の技をご覧頂ければと思います。
 木力館は毎日元気に開館、皆様のお越しをお待ちしております。本物の木を五感で体感できますので、ぜひお気軽にご来館ください。

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