館長 木を語る

館長 木を語る

10.「ブランド材」とは何者か ~本当に良い木とは?

今回は、所謂「ブランド材」と言われているものについて、また良い木を見分けるコツについて、お話しさせていただこうかと思います。

先日の日経新聞で、某大手ハウスメーカーが「ブランド材」を選べる住宅を売り出す、と言う記事を見ました。ここで疑問が湧きました。「ブランド材」とは一体何を指してブランド材というのか、と言う疑問です。

木力館館内展示、柱材サンプル。

例えば、(天然林の)日本三大美林として「秋田杉」「木曽檜」「青森ヒバ」があります。これらは建築材としても有名です。一方、植林された木でも、秋田で育った杉だから「秋田杉」、木曾で育った檜だから「木曽檜」である事に間違いは無いです。
しかし、本当に「良い木」とは、人の手で植林され育てられたものより、天然木、つまり自然の荒波の中でもまれて育ち、200~300年以上経った木だ、と館長の私(材木屋のおやじ)は考えます。

一般的な住宅で使う用材なら、植林され丁寧に育てられた樹齢80~100年程度の木を使えば十分事足ります。もちろん、人の手で丁寧に育てられて価値の高い材もあります(例えば、磨き丸太に使う京都の北山杉など。)人工林の「日本三大美林」というものもあります(一般的には吉野杉、天竜杉、尾鷲檜を指すようです)。

しかし「ブランド材」という一種のファッション的な、名前だけのもの……それこそ、中身を伴わない、樹齢が20年やそこらの若い木を建築用材として使うのは果たしてどうなのか、と疑問に思う訳です。

館長の私(材木屋のおやじ)としては、「ブランド」にこだわるより、木の樹齢にこだわった方が良いと考えます。
「木の価値は樹齢」です。どこの産地の木でも、樹齢100年以上の材は良材と言えます。200年以上のものは「銘木級」とも言うべき、さらに上の価値になります。

皆様は、木について如何お考えですか? 次回は更に、良い木の選び方についてお話し致します。