館長 木を語る

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9.「適切に」木を使う、ということ

今回は「適切に」木を使うということについて、お話しさせていただこうかと思います。

適切に管理された森林から産出される木材や間伐材は、どんどん使った方が環境の為に良いです。
使われないと、「素材」としても持て余してしまい勿体ない上に、森林の維持管理、そして森林の循環(木を育て、切って使い、また植えて育てる、というサイクル)の意味でも悪影響となります。

例えば、皆さんがよく使っている「木製品」のひとつに割り箸があります。
「割り箸は森林伐採になるから良くない」と言う意見も有ります。しかし国産材に限って見れば、割り箸に使われる材は間伐材(森林生育の際に不要となった材)や生長の早い樹種が中心です。

つまり、これら間伐材や生育の早い樹種などは、使わないよりも使った方が森林環境(森林整備)の為にも良い事は明白です。

木の箸と、一般的な割り箸。

外国産材(の多く)は事実上「木を切ったら切りっぱなしでその分森林が失われる」実態がある為、難しい面はあります。
勿論国や地域ごとに制度や違い等はありますが、多くの地域で森林資源が失われているのは事実です。
ところが国産材(植林された森林にある、使える木材の蓄積量)は増えていると言う実態もあります。ご存じでしたか?

国産材については今お話しした通り、積極的に使った方が環境の為には良いのです。日本では「木を切ったらまた植えて育てる」と言う文化がありますので、木を使う事は「木を切った場所にまた木の苗を植える」と言う事に繋がり、森林の循環、若返り化と言う意味でも重要なのです。循環可能資源、再生可能資源、とも言いましょうか。

そして先に述べた「割り箸は森林にとって悪」と言うイメージからの思い込みから、国産割り箸利用が減りましたが、そうなると国産の割り箸に使う間伐材等の需要が落ち込み、それに伴う国内の林業や製材業、割り箸業者が大打撃を受けた事はあまり知られて居ません。

勿論、さきにお話しした通り、外国産材となると話はまた別になります。国産材と外国産材は使われ方(伐採や生育方法など)に大きな違いが有る事をまず認識する事が第一でしょう。
そしてただ漠然としたイメージや噂等に流されず、実態をよく知り、どうすべきか、関心を持って調べる事も大切だと思います。

皆さんは如何お考えですか?