木力館のとりくみ

学校でのとりくみ

2023年度、開智小学校4年生『ものつくり』製材見学とのこぎり体験 木力館編

向夏の候、皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

この度令和5年5月25日の訪問特別授業に引き続き、今度は開智小学校の4年生の皆さんが、大型バスで木力館きりょくかんにやって来てくれました。

元気いっぱいの皆さんの楽しみに満ちた表情が、早速、館内に活気をもたらしています。
小学4年生の子供たちがバスから降りてきて、ノコギリ体験場所前の広場に集まった彼らの目は輝き、心は期待でいっぱいでした。
これから待ちに待った体験や見学が控えているからです。
その楽しみが待ちきれない雰囲気が広場に満ちていました。

皆さんが揃ったところで、まずは館長と、今日お手伝いをしてくれる職人さん達のご挨拶からスタート。
生徒の皆さんの緊張した表情と期待に満ちた瞳に、今日が一生の思い出になることを願っております。

さあ、特別校外授業の始まりです!
全体を2班に分けて、製材見学とノコギリ体験を開始しました。
前半組と後半組に分けて、それぞれの組が体験場所へと向かいます。

見学は、今回の校外授業の中心とも言える丸太の製材加工から始まりました。
生徒の皆さんの目の前には、埼玉県産の丸太が帯鋸おびのこにセットされ、いつでも製材可能な状態で待機しています。

まず館長から、埼玉県産の丸太の説明がありました。
樹齢や節の数などから、丸太が育って来た様々な物語が、生徒の皆さんには新たな発見として繋がっていました。
年輪を数えることで樹齢を知るという話には、多くの驚きの声が上がっていました。
また、木が成熟するにつれて、その香りも変化します。
多くの木材は、年齢(樹齢じゅれい)を重ねることでより深みと複雑さを増し、特有の香りが強くなります。
生徒の皆さんは、初めて聞く木材に関する情報に対して非常に興味を持ち、理解することができたようです。

そしていよいよ製材が始まります。
帯鋸がスムーズに丸太を板状に切断し、一つの丸太から何枚もの板材が生まれていく様子に、生徒の皆さんは息を呑んで見入っていました。
特に、丸太が切られると、それまで見えなかった節が明らかになり、その節が板材の表面に多く見られるほど、板材が丸太の中心、つまり芯に近いことを説明しました。

館長の説明によれば、木材が丸太の芯に近いほど節も多いとのこと。
これは木が成長する過程で、新たな枝が生えることが多く、それが後の節となるからです。
木材の節が、木が経験した成長の過程や環境の変化を物語っていることに、生徒の皆さんは深い興味を示していました。

帯鋸おびのこが稼働する際の大きな音に一部の生徒の皆さんは驚きながらも、そのすぐ後に広がる木の香りと、新たに露わになった節の姿には、皆心地よい驚きと感動を覚えてもらえたらと思います。
この一連の過程は、木材とそれを取り巻く自然の関係性を直接的に感じることのできる、大変貴重な体験となった事でしょう。

製材見学を終えた生徒の皆さんは、木力館内を見学!
展示は木材と森林についての学びの場で、各々おのおのが埼玉県産の様々な樹種や、森林の重要性について理解を深める事が出来た事でしょう。
さらに、生徒の皆さんは新たに得た知識を友達と共有し、先生や職人さんたちへの質問を通じて、更に学びを深めました。
直接的な体験と学んだ知識を結びつけ、木材と自然に対する尊敬と感謝の気持ちが育まれた事でしょう。

木力館見学の後は、いよいよ待ちに待ったノコギリ体験の時間です。
安全対策のされた作業台には、埼玉県産の木材が用意されており、生徒の皆さんは5名ずつ並んで作業台に向かいました。

初めてノコギリを手にする生徒の皆さんは、最初は少し戸惑っていました。
しかし、職人さんたちが丁寧ていねいにノコギリの持ち方や使い方を教えてくれると、その緊張感は次第に自信へと変わっていきました。

木材を切る体験は、一見すると単純な作業のように見えますが、実際には力の加減や角度、ノコギリの扱い方など、細かな注意が必要です。
そんな中、生徒の皆さんは一生懸命にノコギリを動かし、自分の力で木材を切り分ける経験をしました。
その際の木の香りが漂う中での作業は、五感を刺激するとともに、創造力や協調性の育成に寄与しました。

一人ひとりが作業を進める中で、時折ときおり、職人さんたちがアドバイスを送り、生徒の皆さんは次第にノコギリを使う技術を身につけていきました。
木を切るたびに、木材の色や匂い、そして自分の手で創り出す形状に触れることで、木材との繋がりをより深く感じられる時間となりました。

この日の訪問は、生徒の皆さんにとってSDGs(持続可能な開発目標)への理解と取り組みを深めるための貴重な時間となりました。

生徒の皆さんはノコギリ体験を通じて、木材という資源を直接扱うことで、“目標12: つくる責任 つかう責任”について学んでくれたと思います。
木材と直接触れ合うことで、自然資源の重要性と持続可能な利用についての理解を深めるとともに、自分たちの行動が資源の消費にどのように影響を及ぼすのかを体感してくれました。

製材見学を通じて、木材がどのように加工され、我々の生活にどう結びつくのかを目の当たりにし、“目標15: 陸の豊かさも守ろう”について理解を深めた事でしょう。
丸太が板材になるまでのプロセスを見ることで、森林が持続可能な社会を支える基盤であることを実感したと信じています。

生徒の皆さんは、この日を通じて、SDGsの目標に対する理解を深め、自分たちの行動が持続可能な社会の構築にどのように貢献できるのかを学びました。
校外授業の終わりには、彼らが得た経験と学びから生まれる行動が、持続可能な世界を創り出す一石となることを願っています。