館長 木を語る

館長 木を語る

18.学校教育機関で「出張授業」や「出前講座」を行う事の意義

令和2年2月某日、木力館はさいたま市内の小学校にお邪魔し、「出張授業」を行いました。詳しくはホームページのレポートをご覧いただくとして、ここでは「何故学校で出張授業や出前講座を行うのか」と言う事についてお話ししようかと思います。先日もブログでお話ししましたが、こちらではより肉付けして、改めてお話しできたらと思います。

これは木力館ホームページのレポートや過去のブログ等でもたびたびお話ししている事なのですが……、まず最初に指摘したいのが、学校で学べる事にはおのずと限度・限界がある、と言う事です。
館長の私(材木屋のおやじ)も詳しくは伺ってない事ですが、学校では時間割が決まっていて、この学年では「ここまで学ぶ」「ここまで学習する」と言った事が(それぞれの学校により)子細に決められているそうです。先生達もそれらを基に年間のスケジュールを組んでいき、実際の授業となるそうです。

もちろん、学校での勉学はとても大切な事です。それ自体について、館長の私(材木屋のおやじ)は否定しません。しかし、学校で教えている事以外の「ものごと」について、生徒さんは一体どこでどうやって学べば良いのでしょうか?

さいたま市内の小学校へお邪魔して出張授業の取り組み。カンナ掛け体験。

ご家庭でも学びの機会をつくることは、ある程度は可能かも知れません。家に帰ってから少しの時間を設けて何かを学ぶ、または休日に何処かへ出かけて体験をする、等も良いでしょう。しかし、保護者の方は普段それぞれお仕事をされているでしょうし日常の家事等もありお忙しいかと思います。一方で休日だからと毎回外に出るのも難しいでしょう。何より、其々の家の事情もあるので、一概には言えません。こちらも、なかなか難しい事です。
では学校はどうなのか? さきにもお話しした通り、学校は学校で、限界もあるのです。

最近では、学校での学習カリキュラムがぎっしり詰まっており、それを消化するだけで精一杯、と学校教育の現場に立つ先生方からお話を聞く事もあります。
また、授業以外の事については「大勢の生徒を連れて学校の外に出る」と言う意味での安全面や、施設利用等に関わる金銭面での問題等から、学校の外へ出ての「社会科見学」はそう気軽に行えない、と言った事情もあると聞きます。もっとも、これは個々の学校により事情も異なるとは思いますが。

そこで、木力館としては、個々の学校から要請や依頼を受け、その学校にお邪魔して「出張授業」「出前講座」を行い、生徒さんに「木のこと」「木と森林のこと」等をお話しすると同時に、カンナ掛け体験や木の香り体験、木工教室など、その学校で可能な範囲で木の良さを体験・体感して頂いております。

この「学校へ赴いての授業」は木力館が開館してから早くに地元小学校での「木工教室」等から始まり、これまで主にさいたま市内の小学校や中学校にお邪魔し、行ってきました。県外では、千葉県浦安市の小学校にお邪魔した事も有ります。
とりわけさいたま市の開智小学校ではかれこれ10年以上続いており、毎年「学校校舎内での特別授業」と「木力館に実際に来て頂く社会科見学」を(日を分けて)セットで行っております。大変ありがたい事です。

学校にお邪魔して「出張授業」の一コマ。画像は2019年の開智小学校。

学校の授業だけでは教えきれないこと。
「木の博物館」である木力館としては、生徒の皆さんに「木の大切さ」や「森林・自然環境の大切さ」を伝えたいのですが、そのはじめの一歩として、まずは木に親しんでもらいたい、木に興味を持って欲しいと言う点から、館長の私(材木屋のおやじ)の「木と森林・自然環境のお話」をはじめとして、「(本物の木を使った)木の香り体験」「カンナ掛け体験」「木工教室」など、その学校のニーズに合った体験を行っております。

館長の私(材木屋のおやじ)がこれまで「出張授業」や「出前講座」を実施してきた経験として、生徒さんは「普段の授業ではない」事でまず楽しそうです。そうでない場合でも、本物の木の香りを嗅ぐと、多くの生徒さんが驚きます。
「木ってこんな匂いがするんだ!」と。
木のこと、特に香りについては言葉や文章で説明するのが難しく、本物の木の香りを自分の鼻で嗅いでみた方が直感的に、ダイレクトに良さを実感する事ができます。そして五感で覚えたものは忘れにくい、と館長の私(材木屋のおやじ)は思います。
ですから、特に若い生徒さんには、木の良さを五感で体感して欲しいのです。そうした事から木に興味を持ってもらえればと思います。

若いうちから木と森林・自然環境について興味を持てば、その次のステップ、「木の大切さ」や「森の大切さ」等にも興味・関心が湧くでしょうし、より頭に入りやすくなると思います。そして生徒さんが成長し、将来何かしら木を使う機会ができた時に、「そう言えば昔に……」と思い出すきっかけになればと願います。

これら「学校での特別授業」を行う事で、学校の中で安全に、そして学校のカリキュラムではカバーできない部分を木力館が補完できればと考えます。これも生徒さんに対する「木育」の一種と言えましょう。

木力館では、学校教育機関向けに、学校へ出向いての「出張授業」「出前講座」、そして木力館へご来館いただく「社会科見学」等を随時承っております。
日程や体験等の内容により事前の準備が必要となりますので、ご興味をお持ちの学校教育機関の方は、まずは木力館までお気軽にご相談頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。