木力館ブログ

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見直される天然乾燥材

 これまで一般の方々には、本物の天然乾燥材は人工乾燥材に比べて劣ると言うイメージが有りました。乾燥処理後の含水率が高く、狂いやすく割れが生じたりする為です。
 しかし最近では、天然乾燥材に対する理解が進み、作る製材工場や木材を手刻みで使っている工務店が増えています。

 まず、天然乾燥材につきものの、木の“動き”といった現象は、木が生きている証拠であり、欠点ではないと言う事です。つまり、例えば割れが生じたからと言って、強度的に問題が有るという訳ではありません。天然乾燥材は木の細胞が呼吸しています。呼吸する事により、細胞が収縮・膨張し、木が動く、と言った現象が起こるのです。木材の強度的な面から割れや反り、狂いが生じるのではないのです。その誤解が、少しずつではありますが、解けてきている様です。
 天然乾燥材は、調湿効果(周囲の湿度によって木の細胞が水分を吸ったり吐いたりする事で室内の湿度を適度に保つ)や強度的な粘りの強さ、見た目の美しさ、香りと言った数々の優れた特徴を持ちます。そう言った木の持つ本質を無理矢理に変えてしまったものが人工乾燥材と言えるでしょう。人工乾燥材は狂いにくい事や品質の均一化、製材の安定供給等のメリットこそ有りますが、強制的に乾燥させる為、天然乾燥材の特徴は消え失せ、単なる工業製品と化してしまうのです。わざわざそういったものを使う事はないと考えます。

 材木屋から見れば、天然乾燥材は、人工乾燥材に比べ、色つやの面でも大きく差が出ます。天然乾燥材は日常の気温、風に晒して自然な状態でゆっくり乾燥させていきます。時間は掛かりますが、木の細胞を殺すことなく、木が本来持つ独特の色つやを引き出す事が出来るのです。
 また、人工乾燥材に対して最近では製造コストの面でも天然乾燥材は優位に立ちつつあります。人工乾燥材は主に化石燃料等を使って乾燥させるので、その分のコストが余計に掛かります。勿論天然乾燥材も、乾燥させる用地の確保、乾燥期間の長さやそれに伴う在庫調整の問題などは有りますが。
 最近では、立木伐採時に原木で乾燥する葉枯らしと組み合わせる方法や、人工乾燥と天然乾燥をミックスさせる方法も登場しています。

 木力館及び(親会社の)大忠では、敷地内で木材の天然乾燥を行っています。1年以上掛けてゆっくり自然の力で乾燥させていくので、木に無理が生じません。時間は掛かりますが、使う側からすれば、健康にも良い最良の乾燥方法と言えるでしょう。

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