木力館ブログ

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木は産地によって強さが違う?

 早いもので1月ももうすぐ終わりですが、皆様いかがお過ごしですか? この冬は「暖冬」と言われておりますが日々の寒さはつらいので決して無理をなさらず。

 さて、木力館にご来場されるお客様は「国産材は高い」と言う先入観念を持っている方が多いです。その事については、木力館で実際の木材サンプルをお見せしながら、詳しくご説明させて頂いております。また以前のブログ記事などにて色々と書きましたので、ご参考までにご覧頂ければ幸いです。

 さて、今回はもう少し踏み込んだお話しをしてみましょう。以前にもこの事はお話しした事があるかも知れませんが、ご笑覧頂ければ幸いです。

 木力館に来場されたお客様からよく「○○産の木は強いって本当?」と言う質問を受けます。例えば全国各地にある、有名産地のいわゆる特定の「ブランド」ものなど(ここでは具体的な産地名は伏せます)は、強度が高く他の地域でとれた木よりも強くて良いものだ、などと思っている方もおられるかと思います。

 材木に関わって50年の私(おやじ)に言わせるなら、それは「正しくない」と言わざるを得ません。それは何故か、お話しします。

 木は人間と同様に、ひとつとして同じものはありません。木は生き物ですし、工業製品のような規格品ではないのですから当然です。当然、同じ産地の木でも、山の北側に生えた木、南側に生えた木、傾斜の緩やかな場所で育った木、風雨に晒されやすい場所で育った木など、木が育った場所により、木の性質や強さ(物理的な強さ)が違ってくるのです。また手入れの良し悪し、樹齢なども影響してきます。当然、木のクセも一本一本違ってきます。
 ですから、ひとつの産地でとれた木をひとまとめに「○○の木は強い」と言うのは如何なものかと思うのです。

 一方、物理的な強さではなく、美的感覚で「○○の木の木目(や木肌)は美しい」など、そう言う個人的なセンスでの評価は結構だと思います。「ブランドもの」の中には、見た目の美しさを追求して育てた木が有りますから、その点についてはきちんと評価すべきです。

化粧柱用の材木。杉磨き丸太(国産材)。

 しかし木の強さ(物理的強度)については、産地ごとによる差は考えてもあまり意味が無い、と言うのが私(おやじ)の結論です。

 むしろ木を使うにあたっては、その使い方や使う場所、使う環境により、木(樹種)を選択すべきだと私(おやじ)は思います。例えば湿気の多いところには湿気に強い木を、負荷が掛かる部位には堅くて粘り強い木を、といった具合です。
 また家を建てるなら「その土地の気候風土に合ったものを構造材として使うと長持ちする」と言う事が大工さんの経験則として今日まで伝えられています。例えば埼玉県で家を建てるなら埼玉でとれた木を使う、といった具合です。

 皆さんも漠然としたイメージに流されるのではなく、木についてもっと知識を深めて頂きたいと思います。皆さんが木について興味を持つことが、日本の林業と森林を救い再生する最初の一歩になると、私(おやじ)は考えています。

 木力館では、木について、実際のサンプル及び値段をお見せするなど、さまざまな情報を発信しております。また家づくりの相談や、推奨する建築現場等の見学や案内なども常時受け付けておりますので、お気軽にご来場下さい。お待ちしております。

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