木力館ブログ

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日本の風習と、気候風土に合った家づくりとは

 10月もいよいよ下旬、各地で紅葉の便りを聞くようになりました。秋もいよいよなかば、冬はもうすぐと言ったところでしょうか。

 昨夜はちょうど「十三夜のお月見」と言うことで、天候に恵まれた地域の方は、美しいお月様を眺められたかと思います。十三夜のお月見とは旧暦の9月13日にお月見をする日本固有の風習だそうで、この時期の月が一番綺麗に見えるから、とも言われております。他にも、日本各地には固有の風習が多く残っているようで、その多様性には驚くばかりです。

 木に関しても同じ事が言えます。分りやすい例で言うと、杉、桧は日本全国どこでも育つと言う訳ではありません。杉の北限は主に青森辺り、桧の北限は福島県東南部辺りと言われ、いずれも北海道では(基本的に)育ちません。逆に、唐松や蝦夷松は北海道が主な産地です(特に唐松は、本州では中部の海抜1000~2000m地域に一部生育している程度です)。

 また、例えば同じ「杉」でも地域によって材の色や質に微妙な差が有ると言う事は、以前のブログでもお話しした通りです。またそれが、秋田の秋田杉、京都の北山杉、奈良の吉野杉、屋久島の屋久杉と言った、それぞれ有名な産地・ブランドの材として、昔から大切に使われてきました。
 地域ごとにそれぞれ植生が違い、それに合った木が生え、それらを活かした家づくりが行われてきた、と言う訳です。

               (木力館内の杉の梁。埼玉県産の良質な材を利用しております)

 理想としては、地元で育った木を使って家を建てる事です。材となる木が生育した環境、もしくはそれに近い場所でその材を使う事は、環境、気候風土の点から見ても、材としての木にも優しく、構造体が長持ちする秘訣でもあります。
 しかし現状は輸入材が木造住宅の8割を占めるまでに至っております。これは日本の林業にとっても由々しき事態です。ようやく最近になって国産材を見直す兆しが見えてきましたが、私(おやじ)からすれば全然まだまだです。もっと国産材、地元の材木の事を知って欲しい。これが私の願いです。

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