木力館ブログ

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伝統的な工法とプレカット工法の違いとは?

 9月も半ばとなり連休の時期となりました。皆様いかがお過ごしですか。まだまだ昼間は暑い日々が続きますが、同時に秋の気配も漂ってきました。それは夕暮れから朝にかけての涼しさであったり、季節の味覚であったりとさまざまです。

 さて、木力館脇の加工場では、大工さんによる材木の墨付けと刻みの作業が本格化しています。先月一棟伝統工法の家が完成し、次の家に使う柱や梁などの作業が始まったのです。

 (手刻みによる継手の一例。「追っ掛け継ぎ」の加工途中)

 大工さんは家の設計図を元に、どの様に柱や梁を組むかを決めていきます。それによって家の強度が微妙に変わって来るので、大工さんの腕の見せ所です。
 もっとも現在では機械によるプレカット加工が主流なので、大工さんの技量の差は極めて出にくくなっています。それがプレカットの“長所”と言われていますが、大工さんが本来持っている技術を発揮できないと言う意味ではマイナスかも知れません。大工さんは木のクセを見抜いて適材適所で家を組み上げます。この伝統の技、目勘などが大工さんの技量の差になるのです。

 一方のプレカット加工では木は単なる「構造体」として扱われ、木のクセを見たり、伝統的な加工といった事は難しいです。継ぎ手、仕口ひとつとっても、大工さんの加工とは違い、機械で加工しやすい構造になってしまいます。機械で大工さんの技を再現するのは難しいと思います。この辺りの事は、木力館にお越し頂ければ実物をお見せしながら説明できますので、どうぞご来場下さいませ。
 伝統工法による家づくりは、まだまだ出来る大工さんがたくさんいます。ただ、大工さんがその腕を発揮できる場が極めて少なくなってきているのも事実です。家づくりが価格競争の波にのまれて「1円でも安い方向へ」と流れてしまっている事が大きな理由のひとつです。木力館でもお客様にこの事を説明すると皆さん驚かれます。「もう昔ながらの(技術を持った)大工さんは居ないと思っていた」と口々に言われます。そんな事はありません。大工さんの技術を使ってくれる現場が無いのです、と説明しています。

     (伝統工法による家づくりの一例。通し貫工法)

 確かに昔は、家の軒先で柱を削り組み上げ、泥壁を塗り、乾いてから……と、ずいぶんと時間をかけて家を建てたものです。昔はそれでよかったのですが、今はそんなのんびりとした事は出来ません。工期の問題、コストの問題が有ります。例えば、昔ながらの泥壁は仕上げるまでに相当な時間を必要とします。塗っては乾かしの繰り返しですので、少なくとも1年は掛かるでしょう。そんなに時間を掛けていたら、家づくりのコストは大きく跳ね上がってしまうので、現代の家づくりで昔ながらの「泥壁」はほとんど見かけません。

 プレカット加工による家は、(一般的に)コストダウンを図ったものです。集成材や人工乾燥材を使い、仕口や継ぎ手を機械で加工し金物で留めて、あっという間に家が建ちます。それこそ3ヶ月もあれば見た目には立派な家が建ちます。勿論、プレカット加工による家は、価格の安さや工期の速さ、均質なつくりなど、良い点も有ります。

 但し、昔ながらの大工さんの技が悪いと言う訳ではありません。伝統的な工法による家は、よい材料を使い、腕の良い大工さんが携われば、たいへん長持ちします。それは今に残る古民家や寺社仏閣などを見れば明らかで、歴史と経過年数が証明しています。最初は(値段が)高いと思っても、長い目で見れば結果的には安上がりになったと言う例が多くあります。

 一般的なプレカット工法では、材料(集成材や人工乾燥材)、工法(仕口や継ぎ手、金物主体の留め)など、それぞれが何年持つか、計算上では数値が出せても、実際の経過年数がどれだけもつかと言う事までは保証されていないはずです。現によく「10年保証」などと言いますが、逆に言えば10年きりしか保証しないのか、10年経った後はどうしてくれるのか、と考えたくなります。プレカット工法の家づくりは、コストダウンと引換えに、家の寿命が短いのではないかと思えて仕方ありません。勿論、生活様式の変化や多様化などを考えると一概に比べるのも難しい……という点は有りますが。

 伝統的な工法の家づくりでは、材料の選定から柱の刻みをはじめとした各工程を、大工さんと相談しながら(ときによっては決めて)、自分の目で見て確かめられる、と言った事も魅力のひとつと私(おやじ)は思っています。それだけ家に対して愛着がわくと言う訳です。プレカットによる家づくりでは、あらかじめ決められた材料を単純に組み上げるだけなので、こうは行きません。

 要は、お客様が何を基準に家の工法を選び、家を建てるか。そこにあるのです。

 あれこれ好き勝手に言わせてもらいましたが……世の中色々な事が様変わりしても、良いものは出来るだけ残して、次の世代に伝えていきたい。それが私(おやじ)の願いです。

One Reply to “伝統的な工法とプレカット工法の違いとは?”

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    初コメントです。
    ほんとに世の中様変わりしましたね。それも短期間で・・。
    良いものが見直されるときが、必ず来ると思います。
    多くの建築業者が、木力館さんに共感しているはずです。

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